EAFF E-1サッカー選手権2019振り返り

 今回はEAFF E-1サッカー選手権2019の3試合を振り返りたいと思う。

まずは中国戦。Jリーグ最終節から中2日というハードスケジュール、練習もできなかったなかで、3バックを採用。クラブや代表で3バックを経験済みのメンバー中心の構成となったが、全体的に前線とDFラインがコンパクトに保たれていた。前半は左ウイング遠藤とシャドーの森島を中心に攻撃が展開され、1点目も上田の落としから森島が抜け出し、鈴木のゴールをアシスト。左サイドから崩し、右サイドへという形が多く見られた。一方、後半は左サイドから崩せなくなり、他の攻撃バリエーションが持てなかったことで攻撃が停滞。セットプレーから得点はしたものの、前半の三浦が逸らして畠中が合わせたシーンにも見られたように、相手のセットプレー対応が著しく悪く、セットプレーから点が取れたことを手放しで喜ぶことはできない。さらに終盤は押し込まれ、シンプルなクロスから失点を喫した。3バック全員がエリア内にいたにも関わらずフリーでシュートを打たれたことは、大きな減点材料といえるだろう。相手がもう少し早くからつなぎを捨て、シンプルにロングボールやクロスを使っていたら、引き分けに終わっていた可能性も高い。試合を通して相手の技術力の低さに助けられた場面が多く、3バックの是非を問える相手ではないといえる。

次に、香港戦。相手が弱すぎたこともあり、5-0と大勝。菅、田川の代表初ゴールや、小川の史上3人目となるデビュー戦でのハットトリックなど、多くの東京五輪世代が活躍した。前半から右ウイングの相馬を中心に攻撃を展開。1,4点目は右からのクロスが得点へとつながった。また、ボランチの大島も積極的にボールに絡み、何度も裏へ素晴らしいパスを通していた。守備も試合を通して集中しており、ほとんどピンチを招かなかった。しかし、前半は4点とったなかで、後半1点しか取れなかったことは残念。中国戦と同様に、攻撃のリズムに慣れられた際に他の崩しのバリエーションを見せることは、今後必要になってくるだろう。また、こちらも3バックの是非を問える相手ではないといえる。

最後に韓国戦。引き分け以上で優勝という一戦で終始押し込まれ、結果は1-0ながらも完敗となった。前半は特に相手に押し込まれており、クロスバー、ポストと2度も助けられながらも相手の勢いを止められなかった。また、相手のプレスが前から激しく、つなぎきれずにボールを失う機会が多かった。それにも関わらずGKからつなごうとし、再び危険な位置で奪われるというシーンが何度もあった。戦術で相手に上回れているなかで臨機応変に対応していくことができなかったことは問題であり、そもそもGKからつなぎを重視した戦術をとるのであれば、スタメンに中村ではなく大迫、井手口あるいは田中碧ではなく大島を起用するべきであり、スタメン自体間違っている。中国戦では起点になっていた遠藤が怪我の影響か動きが悪く、唯一の起点の左サイドでボールがつなげなかったことは特に痛かった。その結果この試合の前半では右から攻撃しようとする機会が多く、鈴木のところで収まらず奪われるというシーンが何度も見られた。失点シーンでも、リフレクションがありボールの勢いが弱まったことは事実ではあるが、DFをしっかり背負えていれば奪われることはなく、ファールをもらうことはできたはずだ。後半になって相手のプレスが弱まってからも後ろで回すことに終始。相手のDFにギャップが生じ、ボールを受けれた際にもシュートまではたどり着けず。相手GKのキムスンギュが守備したのは終盤のクロスからのパンチング以外に記憶に残っていない。また、1点を取らなければ優勝はなく、絶対に点を取らなければいけない状況にも関わらず後ろでつなぎ、フォーメーションにこだわる消極的な姿勢には呆れるしかなかった。後半少し動きが良くなっていた鈴木から、香港戦で全くシャドーにフィットしていなかった仲川を起用したことも不可解。後ろを削って、仲川あるいは小川を起用するべきであった。攻守で圧倒され、大敗していた方が妥当なゲーム内容であった。森保監督の戦術、采配に疑問が残るゲームとなった。


以下には選手の採点(10点満点で5.5を及第点とする)と寸評を載せる。


 中村航輔 4.5点
中国戦は全体的にピンチはなく、たまにきたシュートもしっかりと反応。失点シーンもよく弾いたといえる。ただ、フィードの制度や足元の安定感という面では不安を残した。
韓国戦はミドルシュートを防げず、失点。あれだけの人数がいたなかであのコースにボールが飛んできては防げないのはしょうがないが、足元からのつなぎが出来ないなかで、シュートストップを買われてスタメン起用されているのだから、防いで欲しいというのが正直なところだ。森保監督はGKにもつなぎを求めるため、足元の技術は高める必要がありそう。今後も招集機会は少なそうだ。


 大迫敬介 5.5点
香港戦ではピンチはなく、出番はほぼなし。ただし、コーナーキックからボール弾いて相手にシュートを打たれたシーンはマイナス要素。


 小島亨介 ー点
3試合を通して出番なし。東京五輪へ、AFC U-23アジア選手権でのアピールは必須だ。


 畠中槙之輔 4.5点
中国戦は全体的にハイパフォーマンスを披露。守備でも鋭い読みからパスカットを何度も見せ、攻撃では相手のプレスをかわす余裕も見せる。セットプレーから惜しいシュートもあった。ただし、失点シーンは相手をフリーにし、背後をとられたことはマイナス要素だ。
香港戦では、途中出場で3バックの真ん中を務めた。特に目立つシーンもなく、田中駿汰をボランチ起用したいがためだけの起用となった。
韓国戦では、後ろからのつなぎでミスが生まれ、失点シーンでは寄せきれず。セットプレーでも競り負けるシーンがあった。ベネズエラ戦に続いて、ハイレベルな試合で活躍できなかった。


 三浦弦太 5点
中国戦では、守備を統率し、フィジカルで負けず。セットプレーから代表初ゴールを奪った。前半のイエローカードは余計だった。
韓国戦では、守備で奮闘するも、DFリーダーとして相手の波を押し返せず。今後に向けた大きなアピールはできなかった。


 佐々木翔 4.5点
中国戦ではレベルの低さを露呈。トラップミスが多く、ピンチを招くことは一度ではなかった。パスが相手に当たるシーンが多く見られた。フィジカル勝負は負けていなかったか。1点目の得点シーンで上田へパスを出した縦パスは唯一のハイライトだ。
韓国戦では、フィジカル勝負では負けておらず、体を張った守備はできていた。後ろからつなぐ際のポジショニングがもっと高ければ、遠藤、相馬もより高い位置を取れ、もっと優位にドリブル突破できていただろう。


 渡辺剛 5.5点
香港戦は、相手のレベルが低いこともあり、守備シーンは少なかった。攻撃では良い縦パスのシーンもあり、相馬や仲川へのパスも多く通していた。韓国戦のようなハイレベルな試合で見たかった選手。


古賀太陽 5点
香港戦は、3バックの左で起用される。相手のレベルもあるが、フィジカル勝負など、守備は及第点。攻撃は消極的で、起点にはなれず。渡辺の方が攻撃の起点になっていたか。東京五輪へのアピールはできず。


中駿汰 5.5点
香港戦では、最初は3バックの中央を守り、後半途中からボランチで起用される。3バックの中央では、フィジカル勝負で負けるシーンもあったが、最後はやらせない守備ができていた。また、ボランチに入ってからは田川への浮き球パスなど良い点と、簡単にボールロストする悪い点の両面が見えた。


 橋岡大樹 5.5点
中国戦では、普段からチームでやっている右ウイングで代表初先発。守備では奮闘していたが、攻撃では技術不足。右SBならまだ許せるが、右ウイングとしては攻撃力が物足りないといえる。
韓国戦では、唯一の及第点の選手。ロングボールにはほとんど競り勝っており、守備でも奮闘。攻撃力には改善の余地はあるが、守備力はハイレベルな試合でも通用することを証明した。


遠藤渓太 4.5点
中国戦では、代表初先発ながら堂々とプレー。左サイドで森島と共に攻撃の起点となっていた。しかし、後半に次第にペースダウンした点や得点に絡めなかったこと、積極的に仕掛けたドリブルで相手をかわせないシーンも多く、クロスも精度を欠いたことから、一概に高評価とはいえない。
韓国戦では、怪我の影響もあったのか、動きが悪い。持ち味のドリブルは見られず、守備に奔走した。今後、ドリブルに緩急をつけられれば、もっとかわせるシーンが増えるだろう。今のままでは世界には通用しないといえる。


相馬勇紀 5点
中国戦では、出場時間が短いながらも、ドリブルで仕掛けた姿勢は良かった。
香港戦では起点となり、右から積極的に仕掛け、4点目を演出。しかし、クロスを上げることはできるが、精度は低く、4点目の小川と、終盤の上田以外は味方に合わなかった。ほとんどが味方に合わせたクロスではなく、ドリブルで相手を抜くのが精一杯で、ただクロスを上げたとだけというのが理由だろう。香港相手でこの精度では、相手のレベルが上がると厳しくなると言わざるをえない。
韓国戦では後半頭から出場。積極的に仕掛け、クロスを上げるも、やはり精度を欠いていた。ドリブルは良いが、クロスの精度を改善しなければ、今後の起用は難しい。また、守備でも不安があり、その不安を補えるほどの攻撃力ではない。ウイング起用は難しいだろう。


菅大輝 5.5点
強烈なボレーシュートで貴重な先制点を奪取。4点目の得点にも絡んだ。起点は右からが多かったなかで、2得点に絡んだ。また、守備の切り替えも良かった。ただし、ウイングとしてプレーするにはドリブル突破力が低いか。田川の抜け出しにワンタッチで出せるシーンも左足偏重のため出せず。右足をもう少し使えないと厳しいか。


井手口陽介 4.5点
中国戦は中盤で守備も激しく、攻撃でもミドルシュートを狙う姿勢を見せた。2点目のゴールをセットプレーのキッカーとしてアシストした。
韓国戦では、相手の激しいプレスを剥がせず、後手を踏んだ。攻守共に安定感を欠き、チームを引っ張ることはできなかった。


橋本拳人 5点
中国戦は相手にフィジカルで負けることなく戦えていた。しかし、奪った後のパスの精度は改善の余地がある。


大島僚太 6点
香港戦は、ボール回しの中心となり、ボールに数多く触りながら遠い所もよく見ていた。所属チームの川崎でもよく見られる良い裏への浮き球パスも何度も見られた。
韓国戦では、後半から途中出場。らしいボールさばきを見せたが、ゴールにはつながらず。怪我さえなければ日本の心臓になりうる選手だけに、スタメンでなかったこと、出場してから流れを変えられなかったことは残念だ。


田中碧 5点
香港戦は、大島のサポートが中心ながら、時折良い縦パスが見られた。また、守備への切り替えも良かった。田中駿汰のボランチでのテスト、そして韓国戦へ温存のために途中交代。
韓国戦では、相手の勢いもあり、思うような働きを見せられず。相手を引きつけすぎてピンチをもたらすシーンが何度か見られた。香港戦よりも良い縦パスの数は増えたが、シュートまで至らず。


鈴木武蔵 3点
中国戦は1点目のゴールを奪い、代表初ゴール。しかし、それ以外の場面ではトラップミスも目立ち、フィジカル勝負も負けるなど、年長者としてチームを引っ張るどころか、足を引っ張っていた。彼のところでもっと収まれば、右サイドからの崩しももっと見られただろう。最初に選手交代したことが、彼がダメだったことの象徴的なシーンといえる。
韓国戦は終盤まで出場。しかし、中国戦同様ボールが収まらず、失点にも絡んだ。後半少し盛り返したが、今後A代表として活躍するのは厳しい。


森島司 6点
中国戦はボールを頻繁に受けることによって、攻撃のリズムを作り出していた。1点目のアシストは、抜け出しからパスまで見事だった。後半は存在感が減った印象はあるが、東京五輪に向けたアピールは十分できたといえる。中国戦のMOMだ。
韓国戦では、先発フル出場。遠藤の不調もあり、前半はほとんどボールに触れず。彼が起点になれればもう少し攻撃できただろう。後半のシュートは、打つ積極的は良いが、枠に飛ばして欲しかった。ボールを受けてから後ろへ戻すシーンが多く見られたので、よりドリブルやシュートの意識が高まればもっと脅威をもたらす選手になりそうだ。


 仲川輝人 4点
香港戦は、相手の厳しいマークもあり、らしい場面はほとんど見られず。1点目は起点となっていたが、シュートもなく、JリーグMVPとしても背番号10としても物足りない試合となった。
韓国では、終盤に途中出場。ボールに触る機会もほとんどなく、シャドーというポジションに振り回された大会となった。どちらかというとサイドでプレーする選手であり、シャドーでの起用は疑問が残る。3バックのフォーメーションならどちらかというとウイングの方が適正があるだろう。また、今後の招集も厳しいと言わざるをえない。


田川亨介 6点
中国戦は、相手のペースになっていた時間での投入であり、流れを変えるには至らず。ただ、鈴木武蔵よりは圧倒的にボールの収めが良かった。投入直後のシュートシーンは決めておきたかったか。
香港戦は、起点が右からだったこともあり、ボールタッチ数は少なめ。そのなかでも1ゴール1アシストは評価に値する。ゴールのヘディングはあのコースを狙ったわけではないだろうが、良いコースへ飛んだ。また、積極的なチェイシングも良かった。


上田綺世 2点
中国戦は、試合の入りは良くなかったが、徐々に状態が上がり、1点目の起点となったヒールパスは見事。先日のコロンビア戦よりボールの収まりもよく、また、守備での運動量も増えていた。起点にはなっていた一方で、クロスのシーンでエリア内に間に合わず、シュートが打てなかったことは改善の余地がある。
香港戦では、相馬からのクロスにヘディングで合わせるも、ポストに嫌われる。出場時間が少なく、見せ場はこのシーンだけだった。
韓国戦では、相手のフィジカルに勝てず、ボールロストが多かった。数少ないチャンスでも、トラップをミスし、シュートを打つことさえできなかった。コパアメリカなど、A代表でも数多くチャンスを与えられたにも関わらず、ゴールを決めていないことは大きな減点材料。厳しい言い方にはなるが、森保監督は彼の何を重宝しているのか理解に苦しむ。今後も重宝されれば、不可解な選手起用と言わざるをえないだろう。
 

 小川航基 7.5点
デビュー戦でハットトリックは史上3人目。相手のレベルの低さを差し引いても評価できる。1点目のミドルや3点目のヘディングなど、様々なゴールパターンを持った万能型の選手。相手が中央固めてたことあり、起点にはなりきれなかったのは残念だが、十分なアピールとなったはずであったが、韓国戦では出番を得られず。今後も相当なアピールが必要そうだ。


 森保一 0点
中国戦、香港戦は相手のレベルを考えれば勝って当然。格下相手には3バックの導入はありだろう。しかし、同格程度の相手には3バックは弱点にしかならない。選手も迷いながらプレーしているし、ポジションに固執してしまっている。広島時代は現札幌の監督ペトロビッチが何年もかけて土台を作り上げていたことを忘れてはならない。代表は4年間かけて1シーズン強の試合数しかない。メンバーも4年の間に入れ替わることを考えると、慣れない変則的システムは向かない。過去に1からチームを作り上げた経験がないのだから、3バックに固執するのは日本代表を低迷に導くだけである。また、選手起用にも疑問が残る。後ろからのつなぎをするならば、大島を香港戦のみでのスタメン起用は不可解。中村も足元の技術がなく、大きく蹴り出してしまうことを考えると、大迫の起用も考えるべきだろう。鈴木が中国戦で全く収められていなかったにも関わらず、ゴールを取ったという事実に振り回されて起用してしまったこと、A代表レベルにない佐々木が秘蔵っ子であるが故に招集されていることなど、フォーメーションだけでなく、選手起用、選考まで疑問点が尽きない。特に、劣勢に立たされた際にハーフタイム改善が見られない、采配力の無さは問題視すべきだろう。3バックに固執する姿は自分たちのサッカーにこだわり、完敗を喫したブラジルワールドカップを思い出させる。そもそも形すらできていないのだが…。このまま森保一東京五輪、その後のカタールワールドカップを任せていいのか大きな不安が残る。新しい監督の調査を始めるべきだろう。

EAFF E-1サッカー選手権2019メンバー発表

昨日、EAFF E-1サッカー選手権2019のメンバーが発表された。東京五輪を来年に控えていることから、東京五輪世代とそれ以外の混合で日本代表の底上げを目指す大会であるが、予想より少し多い14人の東京世代が選出された。一方、山口、古橋、土居、町田が選ばれなかったことから、天皇杯出場チームの主力は招集を回避したと推測される。現時点のメンバーからは3バックも予想されるが、4バックと想定してメンバーをみていきたい。


メンバーは以下の通り


《GK》
中村航輔柏レイソル
小島亨介(大分トリニータ
大迫敬介(サンフレッチェ広島
《DF》
佐々木翔サンフレッチェ広島
室屋成(FC東京)→菅大輝(北海道コンサドーレ札幌
三浦弦太ガンバ大阪
畠中槙之輔横浜F・マリノス
渡辺剛(FC東京
古賀太陽(柏レイソル
橋岡大樹(浦和レッズ
《MF》
仲川輝人横浜F・マリノス
大島僚太川崎フロンターレ
橋本拳人FC東京
鈴木武蔵コンサドーレ札幌
井手口陽介ガンバ大阪
相馬勇紀(鹿島アントラーズ
森島司(サンフレッチェ広島
中駿汰(大阪体育大
遠藤渓太(横浜F・マリノス
田中碧(川崎フロンターレ
《FW》
小川航基(水戸ホーリーホック
上田綺世(鹿島アントラーズ
田川亨介(FC東京


 GK
中村、大迫、小島の3人が選出。3試合あるなかで、中村と大迫の一方が2試合、もう一方が1試合出場となるだろう。小島は東京世代を支えてきたGKではあるが、所属チームでは出場機会が得られず、先日のコロンビア戦には選ばれなかった。コパアメリカにも選出されたように期待されている選手であることは間違いない。谷とのサバイバルに勝つためにもアピール出来るか。

 CB
三浦、畠中、渡辺の3人が選出。ベネズエラ戦の後半のコンビに渡辺が加わった。吉田、冨安、昌子に次ぐCBの発掘は急務であり、その3人を脅かす位のアピールを見せてもらいたい。場合によってはこのポジションで古賀の起用もあるか。町田は天皇杯がある影響で選ばれなかったようだ。

 SB
古賀、佐々木、橋岡、菅の4人が選出。室屋は怪我で辞退。攻撃力を考えると、残念だ。ベネズエラ戦で守備の不安を露呈した佐々木が招集されたことは不可解。車屋や新戦力福森の招集の方が正しかったのではないか。J2優勝に貢献した東京五輪世代、古賀は楽しみな存在だ。橋岡は東京五輪世代でありながら、浦和で中心選手として活躍している点は評価できる一方で、技術面ではやや不安もみられ、攻撃でバリエーションを増やせればより五輪代表は近づくだろう。室屋の代わりに菅が招集されたが、菅は左が主戦。左SBが3人と偏りが生まれた。岩田か原の方がバランスが良かったか。4バックの場合は右SBに三浦が、3バックの場合は右ウイングに遠藤が回ると見られる。

 ボランチ
ベネズエラ戦招集組の大島、橋本、井手口にコロンビア戦招集組の田中碧、田中駿汰。3バックを採用した場合、大島、井手口はシャドー起用もありそう。井手口はベネズエラ戦のようにサイドで起用される可能性も残されている。橋本、田中駿の二人は先日の試合でのマイナスを取り返すチャンスといえるだろう。

 2列目
得点ランキングトップの15得点をあげている仲川と、遠藤、相馬、森島の東京世代3人。トップ下に森島、右に仲川、左を遠藤、相馬で争う形か。所属チームでの活躍は遠藤、森島の方が圧倒的で、相馬にとっては東京五輪へのラストチャンスといえる。また、鈴木や田川のトップ下起用で2トップ気味にすることも大いにあり得るだろう。


 1トップ
鈴木、小川、上田、田川の4人。小川、上田はトップで起用されるのが濃厚だが、田川はセカンドトップが適している。鈴木は両方での起用がありそうだ。小川、上田は今回のEAFF E-1サッカー選手権と来年の2019AFC U-23選手権タイ2020で生き残りが決まる可能性が高い。二人の出場時間や貢献度と共に、森保監督がどちらを大事な場面で使うかにも注目したい。


 今回の大会は、選手達の経験や成長と共に今後の選考に大きく関わる大会といえる。勝敗だけでなく、森保監督が大事な場面、大事な試合で誰を使うかなど、選手起用にも着目してみていきたいと思う。

EAFF E-1サッカー選手権2019

 今回はEAFF E-1サッカー選手権2019のメンバーを考えたいと思う。

 この大会は国際Aマッチデーに指定されていないことから海外組の招集はなく、例年国内組で挑む大会となっている。今回は来年に東京五輪が控えていることから、東京五輪世代に加え、今後A代表として招集を考えられるメンバーの混合になるのではないか。A代表の基本フォーメーションであり、今後は五輪世代も4バックへと移行していくことがベストであるため、4バックを基本ベースとしてメンバーを考えていく。


メンバー予想は以下の通り。


GK大迫、谷、中村
DF渡辺、町田、畠中、三浦、室屋、杉岡、橋岡、車屋
MF田中、山口、大島、橋本、仲川、前田、古橋、遠藤、土居、森島
FW上田、小川


 GK:東京五輪の守護神候補大迫、先日のコロンビア戦でも選ばれた谷、柏の守護神中村。最近A代表で招集されるGKも海外組が増えたなかで、若手という枠を除いても国内トップクラスの3人だ。他に有力選手もおらず、東京五輪を見据えたメンバー選考になりそうだ。

 DF:CBは先日のベネズエラ戦に出場した畠中、三浦に、東京五輪世代で、先日のコロンビア戦を辞退した渡辺、町田の二人。共にJ1でポジションを確保しているレベルの高いCBであり、森保監督もレベルの高い試合で起用したいはずだ。SBはベネズエラ戦で招集されたJ屈指のSB室屋、車屋の二人に、東京五輪世代の橋岡、杉岡。二人はCBもできる選手であり、東京五輪出場の可能性の高い選手。ACL決勝まで戦った橋岡や、ここ数試合ベンチ入りもしていない杉岡共にコンディションが気がかりだが、万全なら選ばれるのではないか。

 MF:ボランチは、同じくベネズエラ戦に招集された山口、大島、橋本の3人に、町田、渡辺と同じく先日のコロンビア戦を辞退した田中碧。五輪世代のボランチの人材が乏しく、OAでボランチが選出されるのが濃厚。柴崎と共に山口も有力候補になるのではないか。2列目は、得点ランキング2位の仲川、ドリブラー前田、J1で二桁ゴールを挙げ、ベネズエラ戦でデビューした古橋、J屈指のテクニックをもつ土居、東京五輪世代であり、J1で出場機会をしっかり確保している遠藤、森島と予想。東京五輪の2列目は久保、堂安、三好、食野の4人が選出濃厚のため、遠藤、森島は大いにアピールする必要があるだろう。

 FW:1トップの選手は東京五輪世代の上田と小川の二人。コロンビア戦では二人とも出来が悪く、優劣がつけ難い。OAで大迫を選ばなければこの二人から一人が選ばれる可能性が高く、サバイバルとレベルアップ両方の意味を込めて二人を選ぶのが良いと考える。

 他に候補を挙げるならGK東口、DFは進藤、荒木、福森、松原健、立田、MFは齋藤未月、守田、井手口、三竿、柏、FWは永井、鈴木、オナイウがいる。年末にジャマイカ戦、来年に五輪予選があることを考えると、東京五輪候補は優先しない可能性もある。その場合FWは永井と鈴木が選ばれるだろうし、DFは進藤、荒木、松原健、松原后から選ばれる可能性もあるだろう。
 
 また、天皇杯を控えている神戸、鹿島、清水勢を選ばないとするならば、町田の代わりに瀬古や荒木、進藤。山口の代わりに齋藤、井手口。古橋、土居の代わりに柏、オナイウらが選ばれる可能性もありそうだ。この場合においても、上田はチームの主力ではないため、選べる可能性は高いだろう。

 本日EAFF E-1サッカー選手権2019のメンバーとU-22代表のジャマイカ戦のメンバーが同日にメンバー発表されることが発表されたため、前回同様メンバーを分ける可能性を考慮し、東京世代を除いたメンバー予想のみしておく。


GK中村、東口、林彰洋
DF畠中、三浦、進藤、荒木、室屋、車屋、福森、松原健
MF大島、井手口、橋本、守田、仲川、古橋、前田、柏、土居
FW永井、オナイウ、鈴木


 EAFF E-1サッカー選手権2019は大きい大会ではないが、経験を積むだけではなく、アジアを代表するチームとして、優勝しなければいけない大会である。2013年大会では山口や柿谷らがこの大会でアピールし、翌年のワールドカップのメンバーに名を連ねた。優勝を勝ち取ると同時に、選手達の成長につながる大会になると期待したい。

野球-東京五輪のメンバー予想

 11/2~11/17まで行われたプレミア12で侍ジャパンは10年ぶりの世界一に輝いた。日本は東京五輪が自国開催であり出場権争いのプレッシャーがなかったことや、スーパーラウンドが日本で行われたことなど優位な点があったが、厳しい戦いを勝ち抜いて優勝できたことは代表チームにとっても選手にとっても素晴らしい経験になったはずである。投手は甲斐野、山本、山崎ら救援陣が、打者では鈴木、浅村が活躍。また、周東も切り札として重要な役割を担った。今回は、プレミア12を踏まえて、東京五輪のメンバー24人を現時点ではありながら、考えていきたい。

 東京五輪は6チームによって争われるが、そのレギュレーションは変則的である。勝ち上がり方によって最大7試合、最少5試合で優勝できる。7/29~8/8までの11日間で最大の7試合戦う場合には先発投手は4人は必要。シーズン中ということもあり、中4,5日と負担を避ける場合はもう1人必要かもしれない。今回のプレミアは13人の投手が呼ばれていたが、28人から24人に登録メンバーが減ることを踏まえると、東京五輪では11か12人になりそうだ。また、捕手を2人にするか3人にするかも重要なポイントだ。
 

現時点での24人の予想は以下のようになる


《投手》
今永昇太
甲斐野央
岸孝之
菅野智之
千賀滉大
高橋礼
田口麗斗
中川皓太
松井裕樹
山崎康晃
山本由伸
《捕手》
會澤翼
甲斐拓也
森友哉
内野手
浅村栄斗
源田壮亮
坂本勇人
外崎修汰
松田宣浩
山田哲人
《外野手》
近藤健介
鈴木誠也
柳田悠岐
周東佑京
 

 今回のプレミア12で活躍したメンバー+実力者という構図。投手11人、捕手3人と予想した。
 
中でも先発は千賀、菅野、今永、岸の4人。高橋と田口は第二先発やロングリリーフ、アクシデントがあれば先発も担える投手のユーティリティとして選出。今回のプレミア12でチームを支えた甲斐野、山本、山崎、中川の4人に松井が加わり、左右のバランスもとれた盤石な中継ぎ陣といえるだろう。初戦から第4戦まで最短で中4日空くため、先発4番手起用の今永または岸を初戦中継ぎ待機で1イニングまでなら起用することも可能だろう。負けなしで決勝まで行ければ先発は3人でも回せる。怪我人が出れば苦しくはなるが、10人になってしまっても乗り切ることは十分可能だ。
 
 捕手は森を加わえた3人体制。近藤を万が一の第3捕手として考え、捕手を2人に減らすという考えもあるが、森の打撃力を考えるとDH起用も考えられ、他に1人しか選ばないことはリスクが伴うため、3人選ぶべきだろう。

 内野手はプレミア12で結果を残した浅村に加え、山田や坂本といった実力者、ムードメーカー松田、バッテリー以外守れる外崎を選出。遊撃手が坂本1人では心もとないため、源田を選んだ。

 外野手は不動の4番の地位を掴んだ鈴木、出塁率の高い近藤、足で世界に恐怖を与える周東に加え、実力者柳田が選出されるのが妥当だろう。

 また、ポスティングシステムを利用した菊池、筒香にFAでのメジャー移籍を目論む秋山は万が一日本に残った場合は24人に選出される可能性が高いだろう。

 他の候補として、プレミア12で活躍できなかった大野、山岡、小林、吉田、丸の他に、投手では上沢、大瀬良、種市、則本、捕手は梅野、野手は高橋周平、近本、西川龍馬、西川遥輝、大田が挙がる。東京五輪までおよそ8カ月あり、選手の調子によってこれらの選手が選ばれることも十分あり得る。選手の選考を含め、東京五輪が楽しみだ。

11月A代表2連戦

今回は11月の代表戦を振り返りたいと思う。
まず、キルギス戦。90分を通して格下であるキルギスに押し込まれる展開が続いた。アウェイであり、ピッチコンディションが悪いことを差し引いても内容が悪すぎるゲームとなった。前半は相手の左CB、2番の選手から右ウイング、6番へのサイドチェンジから崩される形が多くみられた。後半になると回数はかなり減ったが、次第に相手の8番のドリブルに苦しめられるシーンは増えていった。また、セカンドボールがことごとく相手に奪われたことや、攻撃に転じた際のパスが特に中盤でずれることが多く、押し込まれる展開となった。伊東と原口をサイドで使っているのだから、シンプルにサイドからクロスで崩す方がピッチコンディションを踏まえても正しい選択であると感じたが、中央から崩すことに固執しているように見えた。2-0と勝利したが、勝利以外に好材料をみつけるのが難しいゲームとなった。
一方でベネズエラ戦も内容の悪いゲームとなった。前半から相手のテンポの良いパス回しから崩され、簡単にゴールを割られた。その原因は、前線からのプレスである。相手はSBが広く幅をとりながら、一方でCBとボランチは上手く三角形を作りながらワンツーでプレスを剥がしていく。前線の選手達を縦にも横にも広げたことで、よりプレス回避しやすいパス回しが出来る環境が生まれてしまった。後ろのパス回しで前線の選手を剥がした後、サイドに張ったウイングにパスを通し、日本のSBと1対1で対峙できる状況を作られてしまったことで、日本の守備陣は人数は揃っているのに、いとも簡単に崩されゴールを割られてしまった。後半は相手の体力による影響なのか南米選手によく見られる点差がついたことで手を抜く傾向によるものなのかはわからないが相手のテンポが落ち、日本は攻勢を見せたが、前半の4失点はあまりにも大きなものであった。もちろん、守備をしない中島を真ん中に置いてサイドでの数的不利を回避した影響もあっただろうが、どれほどの影響を与えていたかは試合が前半で決していた以上、真偽のほどは定かではない。

以下には選手の採点(10点満点で5.5を及第点とする)と寸評を載せる。

権田修一 6.5点
素晴らしい反応で数々の好セーブをみせてくれた。彼がいなければ敗戦も大いにあり得たゲームだろう。間違いなくキルギス戦のMOMだといえる。また、フィードも比較的安定していた。

 川島永嗣 5点
どの失点もDFが完全に崩されてしまっており、止めるのは難しかったか。セーブのシーンはあまりなかったが、大幅な減点はなかった。

 吉田麻也 5点
相手のロングボールにはしっかりと競り合いに勝ち、弾き返していた。しかし、相手の攻めに後手に回るシーンも多くみられた。結果的に無失点で終えたことはプラス材料。

 植田直通 4点
キルギス戦では相手のドリブルに剥がされるシーンがいくつかあり、持ち味の当たりの強さもほとんど見られなかった。フィードも精度を欠いていた。ベネズエラ戦は4失点したことも含め、DFを全く統率できなかった。前半での交代は負傷が理由のようだが、代えられることに全く疑問を抱かなかった。攻守両面で冨安と比較するとやはり見劣りする。今後A代表に関われるかどうかも未知数だといえるだろう。

 畠中槙之輔 4.5点
競り合いやポジショニングはまだまだ改善の余地あり。今後も召集するかどうかも分からないが、アジア予選で起用することはリスクでしかないだろう。持ち味のフィードも精度を欠き、相手の密集した場所へ蹴ったことでピンチを誘発した。
三浦弦太5.5点
相手のテンポの落ちた後半からの出場で無失点も高評価は難しい。ただ、出場してすぐに相手にガツンとあたり気合いを見せたことや、積極的なライン統率の声かけは評価に値するだろう。

 酒井宏樹 5点
いくつか良いクロスを上げていたが、ここ数試合と比較すると存在感は薄かったか。また、練習通りであろう、フリーキックをファーで合わせたシーンはシュートではなく、折り返して欲しかった。

 長友佑都 4.5点
前半早々から裏を狙われ、相手の6番に翻弄されていた。チーム全体が右に寄っているなかでサイドチェンジされ、ボールが渡ること自体には責任はないが、その後の1対1では負けるシーンが多く、修正はできなかった。持ち味のクロスもほとんど見られなかった。ガラタサライでは不調と年俸が高いことから放出される話が出ているが、それも納得してしまうパフォーマンスだった。
 室屋成 4.5点
1失点目は1対1で完全に振りきられ、クロスを上げられてしまった。その後も守備面でやられるシーンも多かった。また、ボールを受けた際にもパスコースがなく、縦に仕掛けるが奪われるというシーンが何度もみられた。後半は相手のペースダウンに伴い攻撃参加が増えたが、クロスの精度は高くなかった。攻守両面で酒井と比べると数段劣る印象。すぐに海外へ行った方が良いだろう。
 佐々木翔 4点
1点目は相手に完全に競り負け、その後も競り合いで負けるシーンがみられた。クロスも精度がなかった。攻守共にマイナス要素しかない。森保監督でなければ、代表に呼ばれることもなかっただろう。
 柴崎岳 5点
キルギス戦ではボールを散らす役割は担えていたが、サイドチェンジや永井や伊東の速さを使うパスがもっと見せて欲しかった。また、フリーでミドルシュートを打った場面では、最低限枠内には飛ばして欲しかった。ベネズエラ戦はキャプテンとして出場するも、前半の失点の連鎖の流れを止められなかった。キャプテンシーに疑問が残る。攻撃も受けてボールを散らす役割に終始し、決定的なパスは右サイドで室屋を走らせたシーン位か。東京五輪でのOA起用も噂されるが、能力やキャプテンシーも含め疑問が生じる。まずはチームで出場機会を増やし、コンディションを整える必要がありそうだ。

 遠藤航 5点
押し込まれていた影響もあり、いつもよりやや後ろに位置していたことから、中盤におけるセカンドをほとんど拾われてしまった。また、相手のドリブルに後手に回るシーンも見られ、イエローカードももらってしまった。得点につながるFKを獲得したのはプラス材料。

 橋本拳人 4.5点
持ち味のボールを奪うプレーはあまり見られず。むしろ足元の技術のなさが強く表れた試合となった。また、1失点目のシーンは室屋の後ろにいたが、2対1になるようフォローできる位置をとるべきだった。

 山口蛍 6点
キルギス戦は遠藤がイエローカードをもらっていた影響で途中出場。ただ、相手の流れを変える選手交代にはならなかった。一方ベネズエラ戦は後半途中から出場し、ゴールを奪った。パス回しでもうまく関わり、また得意のパスカットも見せた。遠藤のような高さがないのがマイナス要素だが、森保ジャパンに必要な選手であると再認識されられた。

 伊東純也 5.5点
PK獲得のシーンはトラップミスかもしれないが、結果的に南野への良いパスとなった。ただ、持ち味のスピードやクロスをみせる場面はほとんどなかった。前半途中から相手の2番へ寄せるようになったためロングパスを蹴らせなかったが、スピードを生かしたプレスでもっと相手を焦らせられれば良かった。

 原口元気 6点
キルギス戦でフリーキックでゴールを決めたため、及第よりやや高めの採点だが、2戦とも攻撃面で大きな違いを見せられたとは言えない。キルギス戦では左サイド中盤でタメを作る場面、ドリブルは何度か見られたが、決定的な仕事はできず。フリーキックもコースは良かったが、相手のGKのミスといえるだろう。あの壁の作り方ならあのコースは絶対に止めなければいけないコース。レベルの高い相手なら止められていただろう。ベネズエラ戦は右サイドで起用され、後半から左に。ただ、初召集の古橋の方が圧倒的に起点になっており、守備的サイドアタッカーという認識がより強まった。

中島翔哉 4.5点
キルギス戦では、彼が出場してすぐに数少ない長友のオーバーラップが見れたことは、相性の良さを表しているのかもしれない。しかし、それ以降ほとんど攻撃に絡めなかった。2-0とリードしているなかで、守備をサボる中島を起用した森保采配に疑問は残る。ベネズエラ戦は、簡単に言えばひどいの一言。前半から低い位置でボールを受け、ドリブルで仕掛けるも剥がせず奪われてカウンターを受ける。特に密集したところで受けるまでは良いのだが、明らかに囲まれているのに仕掛けるため、当然のように奪われてしまう。後半には攻撃が期待され、サイドから真ん中へポジションを移動。ただ、球離れが悪くボールを頻繁に失った。ドリブルのキレ、ファーストタッチ、周囲の状況判断が極端に悪く、所属チームのポルトで出場できないのもうなずける。特に、守備をしないのだから、最低ウルグアイとの親善試合のパフォーマンスをみせる必要がある。ポルトをすぐに離れるべきだろう。彼はエースとして守備が免除され、攻撃を自由にさせてくれないと厳しい選手だ。ポルティモネンセが最適だったのでは…。

古橋亨梧 6点
ベネズエラ戦の後半から出場。前半で4失点したなかで、落ち着いてプレー。右サイドでボールを受け、前半にはなかった攻撃の起点になっていた。そのなかでもシュートを3本ほど打つなど、持ち味をしっかりと発揮した。ベネズエラ戦の数少ない収穫といえる。

井手口陽介 5.5点
出場時間は短く、また、本職とは違う左サイドMFで起用された。相手のペースが落ち、チームが押している状況での出場だったためボールに多く関われたが、本職ではないためドリブルでかわしてシュートやクロスという形は少なく、ボールをボランチなどに戻しながら崩そうとするため、攻撃に時間がかかってしまったのは点差があるなかでマイナス要素だろう。
 南野拓実 6点
守勢に回り、いつもと比べると攻撃に携わる回数は少なかったが、そのなかでPKを獲得し、点をとるのは流石だ。一方フリーなポジションを見つけてボールを受けようとしていたが、後ろの選手からボールが出てこなかった。

浅野拓磨 5点
裏への抜け出しを何度かみせていた。鈴木武蔵よりも持ち味を発揮しようという意欲をみせていたが、技術不足もあり決定的な仕事はできなかった。
 永井謙佑 5点
キルギス戦は守備で前線からプレスをかけていたが、いつもより勢いはなく、あまり効果が見られなかった。攻撃面でも持ち味のスピードを生かす場面は少なく、ボールも収まらなかった。一方でベネズエラ戦は全力でプレスをかけにいったため、何度かチームとしてボールを奪えていた。トップ下が中島でなければもう少しボールを奪えていただろう。また、山口のゴールもアシストした。



鈴木武蔵 4.5点
キルギス戦は試合出場時間はあまりにも短すぎた。クロスにあと一歩届かなかったシーンは、出し手のタイミングと合っていなかったため、動きだしは改善する必要がありそうだ。一方ベネズエラは先発出場。しかし、持ち味のスピードを生かす場面はなく、ボールをおさめる仕事もできずに45分で交代。

クライマックスシリーズの是非を問う

 今年の日本シリーズは、ソフトバンクが巨人に4連勝して終わった。ソフトバンクは主力がしっかりと活躍したのはもとより、スタメンで出た選手も途中から出た選手も活躍。一方で巨人は主力が打てず、さらに守備走塁とミスを連発。中継ぎも崩壊するなど、4試合を通して選手層の差がはっきりと表れたシリーズとなった。

 しかし、忘れてはいけないのは、ソフトバンクはリーグ優勝していないという点である。リーグ優勝していないチームが日本一という矛盾が二年連続で生じてしまったことは留意しなければならない。そこで、クライマックスシリーズの是非を改めて考えていきたいと思う。

 クライマックスシリーズは第一、第二ステージに分かれている。第一ステージは2勝先取制、第二ステージは4勝先取制だ。第一ステージについては特に触れるところはないだろう。二位も三位も優勝していないのは同じ。日本シリーズに進出のチャンスがあるだけで、十分だからだ。
 
 問題となるのは第二ステージ。1勝のアドバンテージはあるが、第二ステージへ進出してきたチームは少なくとも2試合を戦っており、試合勘が戻る。さらに突破の勢いも加味すると、1勝のアドバンテージはないに等しい。第一ステージで先発を2~3枚使用するため、有利に戦えるという考え方もあるが、2試合終えれば中5日で良い投手が出てきてしまうことを考えると、むしろ不利になる可能性もある。今年で言えば、西武は連敗後に千賀が投げ、王手をかけられてしまい、勢いそのままに敗れてしまった。以上を踏まえると、やはり1勝のアドバンテージでは少ないといえるだろう。

 ではどう変えていけば良いだろうか。二種類の考えがある。一つ目はアドバンテージを増やすというもの。二つ目はクライマックスのシステム自体を変えるというものである。

 まず、一つ目のアドバンテージを増やすことについて考える。現在のアドバンテージは1勝しかないが、シーズンのゲーム差を反映するものがあっても良いだろう。例えば、5ゲーム毎にアドバンテージ1勝さらに増やすというようなものだ。実際に直接対決で4連勝して縮まるゲーム差が4ということを踏まえると5でも多いくらいだが、アドバンテージが3勝になりやすくてはシステム自体が崩壊してしまうため、5ゲームが妥当か。今年のパリーグは当てはまらないが、昨年の場合は6.5ゲーム離れている。もう1勝あれば、結果論的にみて、2試合目で勝利した際に王手がかかったことを考えると、3連敗してひっくり返される可能性はより少なくできただろう。やはり一年間戦ってきたリーグの結果を短期でひっくり返されてしまう点は問題視しざるをえないだろう。

 次に二つ目のクライマックスシリーズのシステム自体を変えることを考える。ここで考えなくてはいけないのは、なぜクライマックスシリーズが行われているかということだ。理由は二つ。シーズン終盤の消化試合を減らすこと。そして、集客による収入アップが見込めることである。そこで、新しいシリーズの形態として、二つ挙げたいと思う。

 第一に、セ・リーグパリーグ混合でポストシーズンを行うことである。現在の第一ステージをセ2位対パ3位、パ2位対セ3位にし、前者の勝ち上がりがパ1位と、後者の勝ち上がりがセ1位とするというものだ。あるいは3位の参加をなくし、セ1位対パ2位、パ1位対セ2位の勝者が日本シリーズに進出するというものもある。セパ混合のポストシーズンは面白みはあると感じる。しかし、大きな問題点がある。それは日本シリーズが同一リーグ同士になってしまう可能性があることだ。交流戦で過去15回で1度しかセ・リーグご勝ち越していないことや、直近10年の日本シリーズで9回パ・リーグの球団が制していることを考えると、パ・リーグ同士の日本シリーズになってしまう可能性は高いといえるだろう。この方式にする場合はアドバンテージを2勝にすることで同一リーグ対決を避ける措置をとる必要はありそうだ。

 第二に、リーグ1位は日本シリーズを行い、リーグ2位は3位決定戦を行うというものである。この場合、1位が不当に扱われることはなくなり、消化試合を減らすこともできている。一方、クライマックスシリーズと比べると、出場のハードルは上がり、消化試合が多少増えることや、ポストシーズンの試合数が減り、集客による収入が減ることになってしまう。また、試合日程が同じだとテレビ放映が難しくなるというマイナス要素もある。ただ、本来の日本シリーズの役割を取り戻し、消化試合を減らすことや収益を考えると、この方式の検討もありだと考える。

 ここまで、クライマックスシリーズのあり方について考えてきたが、新しいものに変えるより、現行のものをより良くしていくことがベターだろう。シーズンにおけるゲーム差によるアドバンテージを作ることは是非検討して欲しいと思う。クライマックスシリーズはあくまでボーナスステージであり、目指すべき目標ではない。どのチームも常に優勝を目指すべきであり、途中からクライマックスシリーズ進出へと目標を切り替えることは、目標の下方修正である。監督や選手たちには、それだけは忘れずプレーして欲しい。

日本代表10月2連戦

今回は少し遅くなってしまったが、日本代表の10月2連戦を振り返りたいと思う。

まずはモンゴル戦。90分通して試合を支配し、6点取って快勝。右がダメなら左。左がダメなら右と相手に的を絞らせず、ボールウォッチャーになるという相手の弱点をつくためにクロスを多用した。特に右サイドからは効果的なボールが多く、伊東は3アシストをあげた。伊東はクラブではポジショニングで中に入ることも多いが、この試合は外に張る場面が多かった。クロスを多用するためだと思われるが、本来の持ち味が存分に発揮されており、伊東を起用した采配は素晴らしかった。冨安の怪我がなければ最高のゲームだったと言えるだろう。

一方でタジキスタン戦は前半は劣勢に立たされた。移動による疲労と人工芝で踏んばりにくい影響か運動量が少なく、プレスが中途半端で剥がされるシーンが多く見られた。相手が強豪クラスの決定力を持っていたら少なく見積もって2点は取られていたのではないか。また、パス回しも味方を探すシーンが多く、パススピードは遅かった。モンゴル戦のようなサイドチェンジもほとんど見られなかった。後半早々に点をとって少し落ち着いたが、それでも終盤まで運動量は上がらなかった。結果は3-0だが今後に不安を残す試合となった。

以下には選手の採点(10点満点で5.5を及第点とする)と寸評を載せる。

 権田修一 6点
モンゴル戦は仕事はほぼなかったが、タジキスタン戦では1対1を止めた。あの場面で決められていたら勝敗は全く分からなかっただろう。その他のシュートは精度も威力もなく、さほど難しいものではなかった。

 吉田麻也 5.5点
守備は2戦とも安定していた。タジキスタン戦では危険なパスミスはあったものの大事には至らず。むしろ相手の裏をつく攻撃を止めていた印象のが強い。一方、モンゴル戦ではゴールを決めたが、タジキスタン戦では決定機を逃した。このレベル相手ならセットプレーで合わせることは容易であることから、しっかり決めきってもらいたい。

 冨安健洋 5.5点
数少ないカウンターにもきちんと対応していて、裏へのボールへの反応は相手を遥かに上回り、チャンスを作らせなかった。攻撃はサイドバックが積極的に攻撃参加していたこともあり、いつもより自重したか。怪我をしたのはとても残念。11月の試合に間に合うと良いが…。

 植田直通 4.5点
持ち味のフィジカルを見せる場面もあったが、格下相手に後手を踏んでいた。決定的なパスミスからあわやというシーンも作られた。攻撃の起点となるフィードの精度や後ろでのパス回しのポジションなど特に攻撃面での課題が強く見られた。怪我の冨安、昌子が復帰すれば出番は限られるだろう。

 酒井宏樹 7点
モンゴル戦、タジキスタン戦共に攻撃面で大きな貢献をした。モンゴル戦では伊東を自由にプレーさせることで3アシストを陰で支えた。また、タジキスタン戦は自らが2アシストした。格下相手とはいえ、精度の高いクロスは評価できる。守備面でも簡単に裏をとらせず。タジキスタン戦では激しい当たりをみせた。イエローをもらわなかったのは幸いだが…。右サイドバックとして替えが利かない不動の存在だけに、最近怪我がちな所は不安材料だ。

 長友佑都 6点
モンゴル戦では10年ぶりのゴール。あの位置まで飛び込んでいたことは評価できる。一方タジキスタン戦はあまり目立たなかった。人工芝の影響かセリエAドリブラーを抑えていたような守備がみれなかったのは残念。

 安西幸輝 6点
酒井の負傷退場によって出番がきた。得点には絡めなかったが、持ち味の攻撃力は見られた。守備機会はほとんどなかった。攻撃力は高いものを持っているだけに守備力がどれだけ強豪に通用するかが重要。酒井、長友の不動の二人は、守備というサイドバック本来の役割に+αとして攻撃で大きな貢献を見せている。ポルトガルで守備力を磨いていって欲しい。

 柴崎岳 5.5点
モンゴル戦では遠藤との連携がよく、起点となっていた。守備への切り替えもよく、相手の攻撃の芽を摘んでいた。一方でタジキスタン戦では攻守の切り替えが悪く、中盤でスペースが生まれてしまっていた。持ち味のサイドチェンジもほとんどみられなかった。らしくないキックミスも見られたのは人工芝の影響か。

 遠藤航 6.5点
柴崎との連携がよく、安定していた。ボールを受ける位置も良く、特に右サイドで伊東、酒井と好連携をみせていた。また、微妙のジャッジではありながらも代表初ゴールを記録。鎌田のゴールシーンでも素晴らしいミドルシュートを打っており、攻守で存在感を示した。柴崎と共にボランチのレギュラーといえるだろう。

 橋本拳人 4.5点
人工芝の影響か動きが悪く、持ち味のボール奪取はあまり見られなかった。特に前半はミスも多く、ボールホルダーへ寄せ、剥がされてしまった後の動きが本来の動きではなかったことから、人工芝に気を取られ、動きを無意識にセーブしていたのかもしれない。遠藤がモンゴル戦でアピールしただけに、よりマイナスの印象が強くなってしまった。

 伊東純也 7.5点
モンゴル戦でのスタメン起用は驚きもあったが、素晴らしいパフォーマンスをみせた。ボールウォッチャーになりやすい相手の弱点を突くため、クロス多用することから起用されたが、3アシストと起用に見事応えた。一気に堂安の定位置を奪う位の強いインパクトだった。酒井から安西にサイドバックが変わった際にはポジションを少し中目にとり、安西の良さを出すためサイドのスペースを空けるというフレキシブルさもみせた。欲を言えば、ゴールが欲しかった。

 堂安律 4点
モンゴル戦での伊東の活躍もあり、堂安の意地をみれると期待していたが、完全に裏切られた。攻守共に普段よりも動きが悪く、本来の動きを取り戻したのは後半半ばからだった。中に入り、サイドにスペースを空け、そのスペースから酒井が2アシストしたという点は好材料だが、結果は出せず、物足りないと言わざるを得ない。キルギス戦では結果を残して欲しい。

 中島翔哉 5.5点
モンゴル戦ではセットプレーから2得点を演出した。ただ、相手の実力を考えるとセットプレーの質が高かったとは言えず、強豪と戦うことを想定すれば、もっと質を高めなければならない。タジキスタン戦では1点目をアシスト。大きな得点を演出した。一方で2試合を通してパフォーマンスが良かったとは言えない。昨年のウルグアイとの試合で見せたようなドリブルシーンは少なく、モンゴル戦は伊東の影に隠れた。タジキスタン戦は起点となるためボールを多く触っていたが、アシスト以外は仕事を果たせたとは言い難い。浅野に変わってから起点すらなくなってしまったのは事実だが…。

 原口元気 6点
出場はモンゴル戦の途中出場のみと出番は少なくなってきているが、モンゴル戦はらしくプレーし、アピールしていた。結果にはつながらなかったが、ドリブル突破など良いプレーをしていた。ただ、中島と比較すると攻撃面が劣る印象は否めない。今後も途中出場が多そうだ。スタメンは守備的な試合あるいは3バック時の左ウイングバックに限られるか。

 浅野拓磨 5.5点
タジキスタン戦で左サイドでの途中出場。ヘディングでゴールを決めた。ただ、その前に決定機を外したり、中島から代わったことで起点がなくなり、タジキスタンに押し込まれる時間につながったことを踏まえると、ゴール以外の面ではマイナスといえる。もちろん本来のポジションではなかったことは考慮されるべきだが…。

 南野拓実 7点
2試合で3得点。特に両試合共に先制点を奪ったという点は高評価に値し、素晴らしいパフォーマンスだったといえる。モンゴル戦は早々に試合が決まったため、温存させることも成功した。ただ、タジキスタンの前半終了間際の決定機を外したシーンはかなりの減点材料。あれだけフリーになったシーンは決めておかねばならない。結果的に後半相手の運動量が落ち、3-0という結果で終わったが、あのシーンで決めていれば後半の試合運びはより優勢に運べただろう。

 永井謙佑 6点
ヘディングでゴールを決め、好調さをアピール。ただ、全体的にボールに絡むシーンは少なく、ゴールがなければマイナス評価といえる。大迫とは同じ役割を求めていないが、日本代表のFWとして世界と戦うことを踏まえると物足りなさがうかがえる。

 鎌田大地 5.5点
モンゴル戦では代表初ゴールを決めた。ただ、決定機にダイレクトでシュートを打たず、トラップしたことによってチャンスを逃したのは痛かった。タジキスタン戦はいくつか起点にはなったものの、全体的にボールを触る回数も少なく、FWとして結果を残せなかった。2戦通してゴール以外にアピールポイントを見せたとは言えないだろう。

 久保建英 6点
わずかな時間ではあったが、良いプレーを見せていた。残念ながら代表初ゴールはお預けになったが、今後に期待したい。これだけの出場時間しか与えられないのであればクラブに残ってレアルマドリードのとの試合に出場して欲しかったが…。 

 森保一 6点
モンゴル戦では伊東の起用が的中。南野を60分で交代させ、温存させることも出来た。タジキスタン戦は人工芝への対応がチームとしてできていなかったのはマイナス要素だが、2試合共に点差をつけて勝利したことは評価されるべきだろう。