クライマックスシリーズの是非を問う

 今年の日本シリーズは、ソフトバンクが巨人に4連勝して終わった。ソフトバンクは主力がしっかりと活躍したのはもとより、スタメンで出た選手も途中から出た選手も活躍。一方で巨人は主力が打てず、さらに守備走塁とミスを連発。中継ぎも崩壊するなど、4試合を通して選手層の差がはっきりと表れたシリーズとなった。

 しかし、忘れてはいけないのは、ソフトバンクはリーグ優勝していないという点である。リーグ優勝していないチームが日本一という矛盾が二年連続で生じてしまったことは留意しなければならない。そこで、クライマックスシリーズの是非を改めて考えていきたいと思う。

 クライマックスシリーズは第一、第二ステージに分かれている。第一ステージは2勝先取制、第二ステージは4勝先取制だ。第一ステージについては特に触れるところはないだろう。二位も三位も優勝していないのは同じ。日本シリーズに進出のチャンスがあるだけで、十分だからだ。
 
 問題となるのは第二ステージ。1勝のアドバンテージはあるが、第二ステージへ進出してきたチームは少なくとも2試合を戦っており、試合勘が戻る。さらに突破の勢いも加味すると、1勝のアドバンテージはないに等しい。第一ステージで先発を2~3枚使用するため、有利に戦えるという考え方もあるが、2試合終えれば中5日で良い投手が出てきてしまうことを考えると、むしろ不利になる可能性もある。今年で言えば、西武は連敗後に千賀が投げ、王手をかけられてしまい、勢いそのままに敗れてしまった。以上を踏まえると、やはり1勝のアドバンテージでは少ないといえるだろう。

 ではどう変えていけば良いだろうか。二種類の考えがある。一つ目はアドバンテージを増やすというもの。二つ目はクライマックスのシステム自体を変えるというものである。

 まず、一つ目のアドバンテージを増やすことについて考える。現在のアドバンテージは1勝しかないが、シーズンのゲーム差を反映するものがあっても良いだろう。例えば、5ゲーム毎にアドバンテージ1勝さらに増やすというようなものだ。実際に直接対決で4連勝して縮まるゲーム差が4ということを踏まえると5でも多いくらいだが、アドバンテージが3勝になりやすくてはシステム自体が崩壊してしまうため、5ゲームが妥当か。今年のパリーグは当てはまらないが、昨年の場合は6.5ゲーム離れている。もう1勝あれば、結果論的にみて、2試合目で勝利した際に王手がかかったことを考えると、3連敗してひっくり返される可能性はより少なくできただろう。やはり一年間戦ってきたリーグの結果を短期でひっくり返されてしまう点は問題視しざるをえないだろう。

 次に二つ目のクライマックスシリーズのシステム自体を変えることを考える。ここで考えなくてはいけないのは、なぜクライマックスシリーズが行われているかということだ。理由は二つ。シーズン終盤の消化試合を減らすこと。そして、集客による収入アップが見込めることである。そこで、新しいシリーズの形態として、二つ挙げたいと思う。

 第一に、セ・リーグパリーグ混合でポストシーズンを行うことである。現在の第一ステージをセ2位対パ3位、パ2位対セ3位にし、前者の勝ち上がりがパ1位と、後者の勝ち上がりがセ1位とするというものだ。あるいは3位の参加をなくし、セ1位対パ2位、パ1位対セ2位の勝者が日本シリーズに進出するというものもある。セパ混合のポストシーズンは面白みはあると感じる。しかし、大きな問題点がある。それは日本シリーズが同一リーグ同士になってしまう可能性があることだ。交流戦で過去15回で1度しかセ・リーグご勝ち越していないことや、直近10年の日本シリーズで9回パ・リーグの球団が制していることを考えると、パ・リーグ同士の日本シリーズになってしまう可能性は高いといえるだろう。この方式にする場合はアドバンテージを2勝にすることで同一リーグ対決を避ける措置をとる必要はありそうだ。

 第二に、リーグ1位は日本シリーズを行い、リーグ2位は3位決定戦を行うというものである。この場合、1位が不当に扱われることはなくなり、消化試合を減らすこともできている。一方、クライマックスシリーズと比べると、出場のハードルは上がり、消化試合が多少増えることや、ポストシーズンの試合数が減り、集客による収入が減ることになってしまう。また、試合日程が同じだとテレビ放映が難しくなるというマイナス要素もある。ただ、本来の日本シリーズの役割を取り戻し、消化試合を減らすことや収益を考えると、この方式の検討もありだと考える。

 ここまで、クライマックスシリーズのあり方について考えてきたが、新しいものに変えるより、現行のものをより良くしていくことがベターだろう。シーズンにおけるゲーム差によるアドバンテージを作ることは是非検討して欲しいと思う。クライマックスシリーズはあくまでボーナスステージであり、目指すべき目標ではない。どのチームも常に優勝を目指すべきであり、途中からクライマックスシリーズ進出へと目標を切り替えることは、目標の下方修正である。監督や選手たちには、それだけは忘れずプレーして欲しい。